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ECにおけるサブスクリプションとは?LTV向上になぜ重要かを解説
ECにおけるサブスクリプションとは?LTV向上になぜ重要かを解説

ECにおけるサブスクリプションとは?LTV向上になぜ重要かを解説

Updated At:
Jan 3, 2024

はじめに

ECのLTVを向上するために定期購入・サブスクリプションは重要な役割を果たします。この記事はLTV向上に取り組むECマーケティング担当者の方にむけて、定期購入・サブスクリプションの位置づけや、その概要について解説します。

定期購入・サブスクとは?

定期購入・サブスク(サブスクリプション)の一般的な定義は、顧客が定期的にサービスや製品を購入することをコミットし、企業側は通常は割引価格などのメリットを提供するビジネスモデルを指します。たとえばNetflixやSpotifyなどをイメージすると分かりやすいです。このモデルは、顧客との継続的な関係をつくり、中長期にわたって安定した収益源を生み出すことができます。

近年、この仕組みをECに導入する動きが多く見られます。こと日本においては「サブスクEC」という言葉は、顧客に対してECストア自身がセレクトした商品を提供する仕組みを意味することが多いです。

この記事においては、狭義の「サブスクEC」に限らず、定期購入・サブスクリプションという手法をLTV向上の観点から解説します。

ECにおける定期購入・サブスクのメリット

そもそも定期購入やサブスクモデルには、以下のようなビジネス上のメリットがあります。

収益の予測可能性

定期購入・サブスクモデルの主な利点の一つは収益を予測できることです。顧客が定期的な購入にコミットしているため、事業計画や予算配分を高い精度で立てることが可能になります。不確実性を減らし、ビジネスの意思決定をより正確にすることができるようになります。

より良いサプライチェーン管理が実現

定期購入・サブスクモデルを導入することで、収益が予測できるだけでなく、商品の需要を予測したりストア側がコントロールすることが容易になり、サプライチェーン管理を最適化できます。特定の商品カテゴリでどの程度の顧客が定期購入しているかを把握し、在庫レベルや出荷スケジュールを最適化し、在庫切れや過剰在庫のリスクを減らすことができます。ビジネス全体としてもコスト削減が可能になり、効率的なストア運営をすることができます。

既存顧客に対するマーケティングコストを削減

一般的には、既存顧客にリピート購入をしてもらうために多くのマーケティング活動が必要です。たとえば、定期的なメールマーケテイングを行って接点を維持したり、SNSを活用したプロモーションを行ったりするなどにより、定期的にブランド思い出してもらってリピート購入を促し続けることが必要です。定期購入・サブスクモデルを導入することで、このような活動が不要になるという点で、企業側としても魅力的な施策であると言えます。

なぜ定期購入・サブスクはECのLTV向上に重要なのか?

ECにおける顧客のLTVは、「平均注文金額」「購入頻度」「顧客寿命」などの要素に分解することができます。サブスクリプションは「購入頻度」を安定化したり、「顧客寿命」をのばす点で非常に有効な施策であり、LTVを向上させる重要な手段といえます。

また、既存顧客に対するリピート購入を促すマーケティング活動のコストを抑えることができるので、コスト面からもLTV向上に大きなインパクトが見込めます。

LTVについては、こちらの記事で詳しく解説をしています:

ECにおける定期購入の例

ECにおける定期購入・サブスクモデルには、以下の3つのタイプが一般的です。

同じ商品を継続的に提供

定期的に同じ商品を割引価格で購入するモデルです。このモデルは、消耗品や頻繁に交換が必要なアイテムなどに最適です。例えば、オーガニックなベビー用品を販売しているECストアは、毎月必ず必要なオムツやベビーフードを定期購入で提供するといった形です。顧客としても、定期的な買い物の手間が省けたり手元の必需品が切れることがなくなるので、利便性や安心感を提供することができます。

異なる商品を、好みに合わせて提供

顧客の好みやニーズに基づいて、サブスクの中身のカスタマイズができるパターンです。例えば、フィットネス向けのサプリメントやアクセサリーを販売する企業は、顧客ワークアウトルーチンや目標に合わせて毎月必要な商品が入ったボックスを提供する定期購入サービスを提供することができます。

よりパーソナライズされた体験を提供することで、顧客にとっての満足度も高まり、長期的なリピート購入につながることが期待できます。

ストアがセレクトした商品を提供

ストアがセレクトした商品を定期的に提供するモデルです。日本において「サブスクEC」という言葉が使われるときは、このパターンであることが多いです。

このアプローチは先ほどの2つと比べて、より購買体験を重視するパターンと言えます。顧客は毎月新しい商品を発見することができ、期待感や楽しみを感じることができます。企業側も新商品を紹介したり、売上の低い商品をプロモーションするために、このモデルを活用することができます。

例えば、スナックやおやつを専門に扱うECストアは、毎月選りすぐりのスナックを異なる地域から集めたボックスを定期的に提供するサブスクリプションサービスを提供することができます。

ECにおける定期購入・サブスク導入時のポイント

ECビジネスで定期購入モデルを導入する際に注意すべきポイントをいくつかご紹介します。

サブスクに適した商品の選択

自社ECで定期購入に適した商品を見極めることが大切です。たとえば、消耗品や頻繁に交換が必要なアイテム、または顧客の好みに基づいてカスタマイズできる商品が候補になります。

定期購入プランの設定

定期購入・サブスクオプションの設計には、商品の選定や、課金プラン、定期購入の適切な期間設定などが含まれます。ShopifyなどのECプラットフォームでは、定期購入オプションを作成するアプリが公開されているので、これらを利用することも検討してください。

分析と最適化

定期購入・サブスクのパフォーマンスを定期的に分析し、課題を特定して継続的に改善することが大切です。サブスクの場合は離脱率が主要な指標になりますが、継続的にモニタリングして評価しましょう。

ECストアにとってはリピート購入にかかるマーケティング活動を省力化できるメリットがあるとは言え、常に顧客に快適もしくは新鮮な体験が提供できているかを確認して改良を行ったり、場合によっては新商品を取り入れたりといった継続的な改善が重要です。

まとめ

定期購入・サブスクモデルは、ECのLTV向上という観点からは非常に魅力的な手法です。近年流行しているストアがセレクトした商品を提供するタイプの「サブスクEC」型でなくとも、定期購入型のモデルを導入は一考の余地があります。

ただし、すべての顧客が定期購入・サブスクを利用するわけではないということは念頭に置いておく必要があるでしょう。定期購入はあくまでロイヤル顧客にとって魅力的なオプションという考え方が健全です。

たとえばストアで初回購入をした顧客にいかにリピートしてもらうか、ブランドを魅力的に思ってもらうか、いかに定期購入オプションを選択してもらうか、という取り組みがあってこそ、定期購入・サブスクのポテンシャルが最大化できるという点は留意すべきです。

Author
ECPower プロダクトマネージャー

この記事は顧客セグメント管理・ジャーニーインサイト"ECPower"のプロダクトマネージャーが執筆・監修しました。記事の内容はShopifyをはじめとしたEC事業者向けのLTVグロースやCRM支援、データ分析の知見や実績に基づきます。

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