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【2024】Smileの特徴と使い方|Shopify定番ロイヤリティプログラムApp紹介
【2024】Smileの特徴と使い方|Shopify定番ロイヤリティプログラムApp紹介

【2024】Smileの特徴と使い方|Shopify定番ロイヤリティプログラムApp紹介

Updated At:
May 10, 2024

はじめに

ロイヤリティプログラムの導入はECビジネスにおいて、売上や顧客満足度、そして顧客生涯価値(LTV)を大幅に向上させることができる強力な戦略です。この記事は、LTV向上に取り組むECマーケティング担当者の方にむけて、英語圏で定番のロイヤリティプログラムのShopify APPである「Smile」の特徴や使い方、代わりになる国産Appについて解説します。

ロイヤリティプログラムの重要性と運用上のKPI

ECにおけるロイヤリティプログラムとは?

ロイヤリティプログラムとは、継続的にサービスを利用、または商品を購入してくれる顧客に対して特典を与えるマーケティング戦略です。たとえば限定の商品購入や割引の機会であったり、様々なインセンティブを会員に提供することで、ブランドとの接点を強化し、リピート購入を促します。

ロイヤリティプログラムの主な目的は、顧客の継続率を向上させて収益を安定化し、競合他社との差別化を図ることです。

参考記事:

ECにおいてロイヤリティプログラムが重要な理由は?

ロイヤリティプログラムの重要性は近年ますます高くなってきています。大きな理由のひとつが、新規顧客獲得のハードルが高くなる中で、既存顧客のLTV(顧客生涯価値)を高めることが重要視されるようになってきているからです。

ECの顧客生涯価値(LTV)は「平均注文金額」「購入頻度」「顧客寿命」といった要素に分解することができます。この中でロイヤリティプログラムは、競合他社に流れずに継続的に購入を続けてもらう、つまり「顧客寿命」を長く維持することによって、LTVの向上に寄与する重要な施策であるといえます。

さらに顧客のロイヤリティが高まることで、口コミによるマーケティングコストの削減という副次的な効果も期待できます。

ロイヤリティプログラムを運用する上で重要なKPIは?

ロイヤリティプログラムの導入においては、基本的には「既存顧客からの売上を高める」、すなわち「LTVを向上する」という点が最終的な目標となります。そのなかでも特に「顧客寿命」の観点からしっかりと成果が出ているかをKPIとして管理していくことが大切です。

もちろん、ストアによっては「平均注文金額」や「購入頻度」を高める観点からプログラムを運用することも必要です。たとえば、会員限定の特別なオファーをすることでアップセルを狙ったり、ポイントシステムを取り入れることでサイト訪問頻度を増やしたり顧客エンゲージメントを高めることなどが考えられます。

これらのKPIを定期的に確認して狙った成果が出ているかを検証し、ロイヤリティプログラムの内容を改善していくことが大切です。

ロイヤリティプログラムのツールを選ぶ際に重要な観点

自社に適したロイヤリティプログラムの仕組みを運用することができるか

ロイヤリティプログラムというと「ポイントアプリ」を真っ先に想像する方が多いかもしれませんが、実はいくつかのパターンがあります。たとえばShopifyが公開している記事によれば、下記のようなパターンが例示されています。

①ポイントベースのロイヤリティプログラム

ポイントに基づくロイヤリティプログラムは、顧客が商品を購入した際に金額の数%を付与し、貯まったポイントを割引として利用したり、特典と交換できるという仕組みです。ポイントの付与は商品購入だけでなく、新規登録時や、ストア側が期待する行動(たとえばSNSでのシェアや、レビュー投稿)に対しても行われることがあります。

この仕組みのメリットは、ストア上でポイントが貯まっていくことで、顧客がポイントを使うためにリピート購入をしたいと考えたり、また魅力的な特典を手に入れるために継続的に購入をしようと考えることが期待できる点です。貯まっているポイントが気になって、特に目的もなくサイトを再訪問してくれるといった心理的効果も期待できるかもしれません。

他方で、ストア側で割引や特典を準備する必要があります。安易な値引きをしたくないブランドや、適切な特典が準備をすることが難しいブランドの場合、ポイント制度が適切ではない可能性もあります。

②ティアベースのロイヤリティプログラム

ティアベースのロイヤリティプログラムとは、航空会社の会員ステータス制度に代表されるように「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」といったランクを設けて、それぞれに合った特典を提供するプログラムです。たとえば合計購入金額5万円以上がブロンズ、10万円以上がシルバー、15万円以上がゴールドといった形で階層(ティア)の振り分けを行う方法があります。特典内容はストアにより様々ですが、金銭的な特典の提供に限らず、新商品への先行販売や、特別なノベルティの贈呈といったものを導入することも考えられます。

この仕組みのメリットは、①と比べると複雑なポイント計算・管理を行う必要がなく、特定ランクを達成するために継続的に購入をしてくれることが期待できる点が魅力的です。ただしもちろん、ランクごとの特典が顧客にとって魅力的である必要があります。

注意点は、ポイントベースのプログラムと比較するとやはり顧客にとっての金銭的メリットに欠ける点です。身も蓋もない話ですが、もともとストアのブランド力が高く”ステータス”としての効果が見込める場合や、充分に魅力的な特典が準備できる場合は一定の成果が期待できますが、そうでない場合は効果が限定的になってしまう可能性があります。

③有料ロイヤリティプログラム

有料ロイヤリティプログラムは、顧客が会費を支払って加入し、会費に相当する(もしくはそれ以上の)メリットを享受することができる形式です。

たとえばカード会社の年会費を支払って加入するような会員プログラムや、大手ECサイトのAmazonで年会費を支払って送料が無料になったり、「お急ぎ便」を選択できたりするPrime会員が例として挙げられます。

メリットは、会費を支払っているからこそ、たくさんストアを利用しようという基本的なインセンティブが働くことです。Amazon Primeに加入して送料無料になったので、普段実店舗で買っているようなものも気軽にオンラインで購入するようになる、といったケースを想像すると分かりやすいです。

注意点は、有料ロイヤリティプログラムを導入する前に、様々な面で価値検証が必要になることです。顧客が会費を払ってまで得たいメリットが提供できそうか?購入頻度や購入回数を増やすような仕組みづくりができているか?自社としての採算が合うか?といった観点から入念に事前検証を行う必要があるでしょう。

このように、ロイヤリティプログラムはいくつかのパターンがあり、ストアによって適不適があります。自社でどのようなスタイルのロイヤリティプログラムを導入するとよいかをまずは検討し、それが実現できるツール・Appを選ぶことが大切です。

特典設計の柔軟性があるか

どのようなロイヤリティプログラムのパターンであっても、基本的には顧客に対して何らかの特典を準備することになりますが、どれだけ柔軟に特典設計ができるかは重要な観点です。

ポイント形式の場合は、レートを設定して(1ポイント=1円など)購入時のディスカウントに使うパターンだけでなく、たとえば一定ポイントを割引クーポンやノベルティなどの特典と交換するパターンもあり得ます。

ポイントをディスカウントに使う場合も、1ポイント単位で使用可能にするか、100ポイント単位にするか、といった細かい設定ができるかどうかも重視すべき点です。

様々なアクションに対してポイント付与ができるか

こちらはポイントベースでのロイヤリティプログラムを検討する際の観点です。

商品購入時に金額に応じてポイントを付与するというのがよくあるロイヤリティプログラムの基本です。ただし、近年では商品購入だけでなく、「商品をレビューする」「SNSで商品やブランドをシェアする」といった行動にまでポイントを付与することが主流になってきています。

エンゲージメントの高い顧客に積極的に口コミの活動をしてもらうことで、ブランドとしてもマーケティング上の大きなメリットを得ることができます。

商品購入に留まらず、さまざまなアクションでポイントを付与する設定ができるかどうかは重要な観点です。

ロイヤリティプログラム運用による売上や、KPI管理ができるか

最後に、LTVを向上させる目的でロイヤリティプログラムを運用する場合には、実際にKPIとして成果が出ているかを定期的に確認し、改善を行うことが大切です。

その観点から、ロイヤリティプログラムを経由した売上を集計することができたり、LTVや顧客寿命などのKPIを把握することができるツールが理想的です。

Smileとは

Smileは英語圏で定番のShopify ロイヤリティプログラムAppです。Shopifyの注文データと連携し、注文に応じたポイントの付与や利用方法の設定、合計購入金額などに応じたVIPランクの設計などを行うことができます。

Klaviyo, Mailchimpなどの定番メールマーケティングツールや、Judge.meなどの定番レビューアプリとの連携を行うことができる点が特徴です。

Smileの機能

Smileは、ポイントベース、ティアベース、またはその組み合わせでロイヤリティプログラムを設計することができます。機能について一つずつ見ていきましょう。

ポイントの付与

Smileでは、顧客のどのような行動に対してポイントを付与するかを分かりやすいUIで設定することができます。もちろん注文だけでなく、サインアップやFacebookでのLikeやシェア、TwitterやInstagramなどでのフォローといった選択肢が最初から準備されており、簡単に設定を行うことができます。

さらに、レビューアプリ等と連携することで、多様な行動に対してポイント付与を設定することができるようになります。

細かい条件設定も行うことができます。たとえばFacebookのLikeなどのアクションは、「ポイントを稼ぐために短期間に何度も行われてしまう」といった問題が起きる可能性があります。Smile上では、期間あたりの回数制限の設定を行うことができます。

一方で、たとえば商品ごとにポイントの倍率を設定したりといった詳細設定の機能はないので、注文に対するポイント付与の自由度は少し低い印象です。

リファラル(紹介用)URLの発行

Smileでは、ユーザー単位で紹介用URLが自動で発行されます。ユーザーの家族や友人がURL経由で購入すると、紹介者にポイントを付与するといった設定を簡単に行うことができます。

ユーザーが利用するポイントアプリ上では、このような形で簡単にシェアを行うことができます。

ポイントの利用

Smileでは、ポイントの利用先を分かりやすいUIで設定することができます。ポイントの交換レート(1ポイント=1円など)を定めてディスカウントをしたり、一定ポイントを消費して「〇〇%オフクーポン」と交換したり、ポイントを消費して送料無料の特典と交換したり、といった選択肢から選ぶことができます。

会員ランク設計

Smileでは、自分で閾値を設定して、「ゴールド」「シルバー」といった会員ティアを設計することができます。階層分けの選択肢は、これまでの獲得ポイント数か、合計購入金額のどちらかを選ぶことができます。また、集計方法については、「直近1年間」もしくは「全期間」のどちらかを選ぶことができます。

ティアごとに報酬(reward)または特典(perk)を設定することができます。報酬としては、たとえば「●●円以上の注文をすべて●%引きで提供する」や、送料無料などを設定することができます。

一方でPerkは、Smileに選択肢として用意されていない特典について記載しておく欄になります。たとえば「ノベルティの贈呈」などを記載しておく形です。この場合、Smileの仕組み外で対象顧客に発送を行う必要がある点は注意してください。

プログラム経由での売上データを可視化

Smileでは、ロイヤリティプログラム経由でどの程度の売上があったかをダッシュボード形式で確認することができます。

ただし、LTVや購入頻度などのKPIについては確認することができない点には注意が必要です。

ユーザーが利用するポイント画面について

ユーザー(顧客)のポイント画面は、サイト上のボタンをクリックすることでポップアップ表示されます。

“Branding”より画面の設定を行うことができます。

表示されるテキストはデフォルトで英語になっています。2023年5月現在、Smileは日本語に対応していないため、これらのテキストを自分で日本語に置き換える必要があります。

ただし、画面のテキストを編集するためには有料プランを契約する必要がある点に注意してください。

Smileの利用料金

Smileの料金プランは、”Starter” “Growth” “Plus”の3つの有料プランの選択肢があります。

無料プランもありますが、「ユーザーが利用するポイント画面」の文章を日本語にするためには有料プラン契約が必要です。

日本のお客さまを相手にする場合は、無料プランでの運用は現実的ではないかもしれません。

Starter, Growth, Plusは月次の注文件数で上限が設定されています。Starterの場合は500件/月、Growthの場合は2500件/月なので、まずはストアの規模によってプランが決まってくる形となります。

ただしStarterプランの場合は最低限の機能に制限されており、例えばVIPティアを作ったり、ポイントに有効期限を設けたりという機能が必要な場合は、ストアの規模が小さくてもGrowthプランを選択する必要があります。

プランごとの機能詳細はこちらのページで紹介されています。

Smileのメリットとデメリット

メリット

①App内でロイヤリティプログラムの設計が完結する

ほかのShopifyのロイヤリティプログラムAppには、Shopify Flowと組み合わせて実装する必要があるケースがあります。

Smileの場合、ひとつのApp内で基本的な設定を完結させられる点は大きなメリットとなります。

②SNSシェアやリファラル(紹介)などのアクションにポイントを付与できる

のちほどご紹介する国産のロイヤリティプログラムAppの場合、これらの機能は標準で準備されていないので、自分でShopify Flowなどを利用しながら実装する必要が出てきます。

デメリット

①細かい商品ごとのポイント倍率設定などができない

国産のロイヤリティプログラムAppと比べると、商品ごとにポイント倍率を設定したりといったきめ細かい設定ができない点は、ストアによってはデメリットと感じられるかもしれません。

②日本語非対応

日本のストアが使う場合には、自分でユーザー画面を日本語訳する必要がある点は明確なデメリットです。

また、管理画面は基本的に英語で使用する必要があるため、英語に抵抗感がある方にとってはかなり使いづらいです。

③ロイヤリティプログラム運用の効果検証がしづらい

ダッシュボードでロイヤリティプログラム経由での売上を確認することはできますが、実際にLTVや顧客寿命、購入頻度といったKPIが向上しているかどうかを確認することは難しいです。

顧客セグメントツールECPowerと組み合わせて使うことで、会員ティア別のLTVや購入頻度などのKPIをモニタリングすることができるようになります。

ECPowerについては、こちらのプロダクトサイトをあわせてご確認ください。

Smileの代わりになるおすすめの国産Appは?

Smileに代わる国産ロイヤリティプログラムAppを探しているという方には、「どこポイ」もしくは「Appify VIP」がおすすめです。両サービスともに基本的なポイントベースのロイヤリティプログラムを実装することができます。

どこポイ

どこポイは株式会社リワイアが提供しているポイント管理アプリです。

どこポイはユーザー数ベースでの課金となります。最低料金はベーシックプランの$49/月で、Smileを意識した価格設定になっています。(Smileとは異なりユーザー数に対する課金であることに注意が必要です。)

Appify VIP

Appify VIPは株式会社Appify Technologiesが提供しているポイント管理アプリです。

Appify VIPは年商規模での課金となり、最低料金は$300/月です。Smileと比較するとやや高い印象です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

Shopifyでロイヤリティプログラムに力を入れたい場合、日本語非対応という点を除けば、Smileは魅力的な選択肢です。わかりやすいUIで、簡単な設定からロイヤリティプログラムの運用を始めることができます。

一方で、日本語対応・日本語でのサポートが必要な場合は、国産の「どこポイ」や「Appify VIP」といったAppが候補になってきます。

ロイヤリティプログラムの運用に際しては、定期的にLTVや購入頻度、顧客寿命といったKPIが改善しているかを確認して改善を行うことが大切です。顧客セグメントツールECPowerは、ロイヤリティプログラムのVIP会員ティアごとにLTVをはじめとしたKPIを比較・モニタリングすることができます。Shopify公式アプリの無料インストールはこちらから。

Author
ECPower プロダクトマネージャー

この記事は顧客セグメント管理・ジャーニーインサイト"ECPower"のプロダクトマネージャーが執筆・監修しました。記事の内容はShopifyをはじめとしたEC事業者向けのLTVグロースやCRM支援、データ分析の知見や実績に基づきます。

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