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ECの行動セグメンテーションとは?重要性と具体例を解説
ECの行動セグメンテーションとは?重要性と具体例を解説

ECの行動セグメンテーションとは?重要性と具体例を解説

はじめに

消費者のニーズや価値観が多様化する中で、ECビジネスにおいてもパーソナライゼーションの重要性はますます高まっています。

実際、ウェブサイトのコンテンツがパーソナライズされていないと、74%の顧客が不満を感じると言われています。

参考記事:https://instapage.com/blog/personalization-statistics

顧客それぞれに適した体験を提供するために、マーケターにとっての強力なツールが「顧客セグメンテーション」です。その中でも「行動セグメンテーション(Behavioral Segmentation)」は商品購入やサイト訪問などの客観的事実に基づいて行う信頼度の高いセグメンテーションで、年齢や性別などの属性データを使う他の方法よりも深い示唆を得ることができます。

この記事では、ECにおける行動セグメンテーションの考え方や重要性、そして具体例をご紹介します。

ECにおける顧客セグメンテーションとは?

ECにおける顧客セグメンテーションとは、顧客を特徴や行動に基づいてカテゴリー分けすることです。顧客セグメンテーションの主なタイプには、属性セグメント(年齢や性別)、心理的セグメント、地理的セグメント(居住国・居住地)、行動セグメント(購買履歴やサイトでの行動など)があります。

EC事業者は、顧客セグメンテーションにより顧客のタイプ別のニーズや購買目的、購買傾向を理解することができ、顧客解像度を高めて効果的なマーケティング施策を実施することができるようになります。

顧客セグメンテーションの全体像はこちらの記事で解説しています:

ECにおける行動セグメンテーションのメリット

ECにおける行動セグメンテーションとは、サイトの訪問履歴や商品の購入履歴、商品使用状況、エンゲージメントなど、共通の行動パターンに基づいて顧客をカテゴリー分けする方法です。行動セグメンテーションは、顧客の行動の背景にある動機を推測することで、隠れたニーズや購買目的を明らかにし、ターゲットを絞ったマーケティング施策を実施することができるようになります。

パーソナライズされたマーケティング戦略の実行

行動セグメンテーションにより、顧客のニーズと好みに合わせたターゲットを絞ったマーケティング施策を展開できます。こうしたパーソナライゼーションは、顧客のエンゲージメントや、マーケティング施策のコンバージョン向上に大きな効果があります。

顧客満足度の向上

顧客セグメントごとの購買傾向や行動パターンを理解することで、コミュニケーションのタイミングやメッセージの内容を、ターゲットに合わせて最適化することができるようになります。

たとえば、注文日間の日数(購買サイクル)に応じて顧客をセグメント化することで、その顧客にとって最適なタイミングで次の購買を提案するメッセージを送ることができます。

顧客の購買行動に沿ったマーケティング施策は、過剰なプロモーションによるストレスや不満を軽減し、顧客満足度を底上げすることに繋がります。

カスタマージャーニーの最適化

顧客の行動を分析することで、カスタマージャーニ―を効率化し、購入体験を向上させる機会が明らかになります。

たとえば初回にサイトを訪問した顧客がどこで離脱してしまうことが多いのか?という点であったり、リピート顧客が離脱してしまうシグナルは何か?という点について、行動データを活用することで客観的に明らかにすることができます。

顧客セグメントごとにカスタマージャーニーの最適化を検討し、「かご落ち」を減らしたり、リピート顧客の離脱防止施策を打ったりすることによって、効率的にマーケティング施策の効果を得ることができるようになります。

顧客継続率の向上

行動セグメンテーションによって、ロイヤリティの高い顧客を特定することができます。

たとえば購入頻度や合計注文金額などを活用してロイヤル顧客を定義してみましょう。これらの顧客の行動の特徴についてさらに深く分析をすることで、いかに関係を継続するかのアイディアを発掘することができます。また、顧客ロイヤリティ高める要因を把握することで、リピート育成や顧客生涯価値(LTV)を向上させる取り組みを具体的に進めることができるようになります。

行動セグメンテーションと他の手法の違い

行動セグメンテーションは、他のタイプのセグメンテーションと比較して、ECストア上にあるデータをそのまま活用できる点で実用的です。また、行動の背景にある心理や動機を推測することで、ターゲットを絞った効果的なマーケティング施策に繋げることができます。

人口統計(Demographic)セグメントとの違い

年齢、性別、収入、家族構成などの要素に基づいて顧客をグループ分けする手法です。

集計や分析が容易である反面、行動セグメンテーションのように顧客行動の背後にある動機を完全に把握することはできません。

心理的(Psychographic)セグメントとの違い

顧客の価値観、興味、態度、ライフスタイルの嗜好に基づいて顧客をカテゴリ分けする手法です。

このアプローチは、顧客の心理をより深く理解することができますが、それらを判断するためのデータを収集することはとても難しく実践的ではないケースが多いです。

ECにおける行動セグメンテーションの例

行動セグメンテーションの活用例をいくつかご紹介します。

購買行動によるセグメンテーション

複雑な購買行動のセグメント

「複雑な」という表現の意味は、購入意思決定までに複雑なプロセスを踏んでいるということです。こうした行動を示す顧客は、購入意思決定に心理的な関与度が高い(平たく表現すると、どの商品を購入するかを重要な選択だと考えている)顧客です。

たとえば、購入前に多くのページ閲覧や比較を行っている顧客をこのセグメントに分類することができます。これらの顧客に対しては、たとえばメールやストアのポップアップ・ストア上の情報コンテンツへの誘導などにより、類似商品の比較情報を提供したり、専門家の観点からの解説などを提供することによって、購入を後押しする施策が実施できます。

習慣的な購買行動のセグメント

定期的に同じ製品を購入する顧客をこのセグメントに分類することができます。このセグメントの顧客は、ブランドロイヤリティが高かったり、購入の習慣化がされているという点から優良顧客セグメントであると言えます。一方で、商品購入に対しての心理的関与が低い(平たく表現すると、商品選択へのこだわりが薄い)可能性もあるため、将来的に競合他社がより良い類似商品を提供し始めた場合には簡単に離反してしまう可能性があります。これらの顧客セグメントに対しては、定期的にブランドとしての好感度を高める施策を実施したり、ロイヤル顧客向けの特典を提供するなど、エンゲージメントを維持する取り組みが大切と言えます。

多様性や新規性を求める購買行動のセグメント

たとえば新製品の購入履歴が多い顧客をこのセグメントに分類することができます。このセグメントの顧客は、新しい製品を試すのが好きで、特定のブランドに必ずしもロイヤリティが高いわけではない可能性があります。マーケターとしては、新鮮さのあるプロモーションを心がけたり、期間限定のオファーや新商品の先行販売などで継続的に興味を引く施策を実施する、といった取り組みが検討できます。

求めている機能やニーズに基づくセグメンテーション

同じ商品であったとしても、どの機能や特徴に魅力を感じているかは顧客セグメントにより異なる場合があります。これらの機能や特徴の違いを商品タグや商品カテゴリなどで識別できるストアでは、購入履歴のデータを活用してセグメンテーションを行うことができます。

同じ商品のプロモーションであっても、セグメントごとに魅力に感じる機能性や特徴を強調したマーケティングメッセージを作り込むことで、エンゲージメントやコンバージョン率の向上が期待できます。

たとえばスキンケア商品を販売するECであれば、アンチエイジング商品、天然成分、無香料といった商品タグがついた商品の購入履歴から顧客を複数のセグメントに分類して、別々のマーケティング施策を実施することができます。

カスタマージャーニーのステップによるセグメンテーション

カスタマージャーニーのステップで顧客をセグメント化することで、適切なタイミングで関連性のあるプロモーションやコンテンツ提供を行うことができます。

「まずは商品を試してみよう」という段階の顧客(たとえば初回・2回目購入を行った顧客)は、商品の活用方法やよりよい使い方を説明するコンテンツが役立つかもしれません。また、「商品の価値や良さを実感できた」顧客(たとえば3回目を購入した顧客や、同じ商品の別のバリエーションをリピート購入した顧客)に対しては、継続的な購入に対する特典を提示することができます。「ロイヤルティが高いリピート顧客(たとえば5回以上購入している顧客)」に対しては、適切なアップセルの施策や新商品のプロモーションなどを行うことなどが考えられます。

なお、一般的なカスタマージャーニーの枠組みでは初回購入までをスコープとして検討することが多いですが、LTVの向上の観点からは、たとえばロイヤル顧客になるまでをスコープとしたライフサイクル観点での検討を行うことが理想的です。

興味関心や購入目的によるセグメンテーション

顧客の興味関心を洗い出すために購買履歴データは最も重要です。ただ、たとえば「サイト上でどのような商品カテゴリの閲覧が多いか」「かご落ちしている商品のカテゴリは何か」といった行動データからも、潜在的な興味関心を洗い出すことができます。

それだけでなく、たとえば注文時に「ギフトラッピング」というオプションを利用した顧客は、商品で自分で利用するためではなく、知人へのギフトの目的で購入をしていることが判断できます。商材の特性次第ではありますが、購入履歴から複数の購買目的を分類できそうな場合はぜひ活用してみましょう。

これらの顧客セグメントを作ることで、関連性のあるコンテンツや商品のレコメンドを行うことができます。マーケターは顧客の心に響くパーソナライズされたメッセージを届けたり、よりよい体験を提供することができるようになり、エンゲージメントやコンバージョン向上が期待できます。

まとめ

ECにおける行動セグメンテーションは、顧客のニーズと嗜好を理解し、パーソナライズされたマーケティング施策を実施するための重要なツールです。

行動セグメンテーションとマーケティング施策を組み合わせることで、顧客のエンゲージメントやリピート購入に繋がり、顧客の生涯価値(LTV)を向上することができます。

本記事では多くの行動セグメンテーションをご紹介しましたが、これらは扱う商材により向き・不向きがあります。様々なオプションの中から、自社に適したセグメントをどのように定義するかが、ECマーケターの腕の見せ所と言えるのではないでしょうか。

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参考記事:

Author
ECPower Inc.

顧客セグメント管理ツール"ECPower"を開発・提供する株式会社ECPowerがこの記事を編集・監修しています。ECPowerの運営および、EC事業者に対するLTVグロース支援・リピート育成支援の経験を踏まえたコンテンツをお届けいたします。

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